Looking for… Act5

「あー今日はオヤジいねぇんだっけ。えっと、ちょっと待って」

 そう言ってごそごそと鞄の内ポケットを探る城之内の事をすぐ隣で感じながら、瀬人はぼんやりと仄暗い外灯に照らされた然程新しくないマンションの扉を眺めていた。新聞受けには今日配られたものらしい朝刊と夕刊、そしてチラシやダイレクトメールらしきものが無造作に突っ込まれており、その様子から今耳にした城之内の「オヤジがいない」という台詞に一人密かに納得していた。

 過度の飲酒癖とギャンブル狂、そして軽度の放浪癖があると言う城之内の父親は時折なんの連絡も無しに行方不明になるという。しかしそれすらもう慣れたもので、誰もいない家に帰るのも面倒臭いとこちらも余り帰宅しない放蕩息子である彼は、やけに手馴れた風にすっかり皺になった新聞の束を抜き取って片手に持ち、鍵を開けて扉を開く。「まぁ、入れよ」なんて言いながら散らかり放題散らかった玄関を自分の靴で更に散らかして奥へと入っていく。

 いつもならその前にここで盛大なストップが掛かり、「5分待て!!」と叫んで室内に飛び込むと何やらガタガタとしまいこむ音がし始めるのだが、今の城之内はそんな素振りはまるでなく、やけにゆったりとした調子で瀬人を居間兼自室へ招き入れると、盛大に散らかったゲームソフトやらアヤシイビデオやら、普段の瀬人なら見つけ次第即効ゴミ箱へ投げ捨てたくなる例の金髪美女巨乳本だとかが、派手にあちこちに散乱している。

 その点からみても、城之内は「恋人」には一応取り繕う癖に、「友達」には一切こういう様子を取り繕わないのだという事を知る。そう言えばこいつの悪友の本田と一緒になって学校にまで如何わしいブツを持ち込んで、にやにやと見るも腹立たしい笑みを浮かべながら眺めていた様子を思い出す。

 全く、どうしようもない馬鹿男だ。心底そう思いながら、瀬人は勝手に座れと指し示された比較的綺麗な座布団の上に腰を下ろし、一応客をもてなす気持ちがあるのかキッチンへと消えて行ったその背中を一瞥すると手持ち無沙汰になった為、ひょいと手を伸ばして近くにあった『金髪美女大集合!〜水着編〜』を手に取ってパラパラと眺めてみた。

 まあ中身は言わずもがな、アレでソレな写真がこれでもか!と言うほどドアップで写っているのだが、瀬人はそれら一つ一つをまるで朝の日課である新聞の経済面を眺めるが如く凝視して、水着といいつつ水着を着ている写真が余りないのはどういう事だ?という至極あさってな方向に疑問を感じながら、特に何かを感じる事もなく最後まで見終わってしまった。勿論性的興奮など微塵も沸かない。

 世の男というものはこんなもので所謂『抜いたり』するのだろうかと思うにつけ、それで何も感じられない自分は余程変わっているのだろうかと今更ながらに少々疑問を持ったその時だった。
 

「お、瀬人ー。お前そんなものガン見していい趣味してんじゃん。何?お前も金髪巨乳が好みなの?」
「……は?」

 コトリと目の前に汗をかいた氷入りのグラスが置かれると同時に背後からそんな声が降ってくる。そして間髪いれずに肩越しに覗き込んでくる城之内の動作に、瀬人がはっとして手にしていたそれを退け様と指を滑らせたが、間一髪のところで何故か手ごと雑誌を捕らえられてしまう。

 それにギクリと身を強張らせた瀬人だったが、当の本人はそんな彼の様子などお構いなしに手からその雑誌をさりげなく奪うと、パラパラと捲ってこの頁の写真がとか、この折込ポスターがとか、良く分からない説明をしてくる。

 余りにも熱心なその様子に、いつもなら「そんなものはどうでもいいわ!」と撥ね付けて更に雑誌を彼の顔や頭に叩きつけてしまうのだが、一応相手は今現在は他人……彼曰く友達レベルであるからして、そうそう邪険な真似も出来ない。結果、こめかみをひくつかせつつ既に不快になって来た写真を眺めながら、瀬人は何時の間にか自由になっていた手で城之内の手をやんわりと押さえてしまうと、比較的静かな声でこういった。

「良く分かった。……とりあえず、先にやる事をやってしまわないか?」
「なんだよお前素っ気無いの」
「オレは元々そんなものには興味がない。ただ、手近な場所に落ちていたからつい眺めてしまっただけだ。だから、もういい」
「ふーん?さっすが優等生。やっぱこういうのに興味ないのか。……ね、お前ってもしかして童貞?」
「!!……ちょ、何故今そんな話になる!!」
「や、だってさー。やっぱ気になるじゃんそういうの。お年頃だし。お前真面目そうだからそうなのかなーって。あ、それともやっぱ逆で経験豊富とか?だからエロ本必要ないってか?」
「……っノーコメントだ!」
「あ、ずりぃ。ちゃんと質問には答えろよ。こうして男同士でいるとさ、女の好みとかさーそういう話するだろ良く」
「しないわ!貴様等と一緒にするな!いいからソレをしまえ!しないのならオレは帰るぞ!」
「じゃーしたら話にちょっと付き合ってくれる?オレすっげぇ興味ある」
「オレは興味などない!時間の無駄だ、さっさとしろ!」

(何が悲しくてこいつとこんな体勢でそんな下世話な話をしなければならないのだ!)

 瀬人は心の中でそう大絶叫し、件の雑誌を城之内から取りあげると床に即座に放り投げ、それきり見向きもせずに鞄の中から筆記用具だけを取り出すと、未だ瀬人の背後でにやにやとしまりのない笑みを浮かべているその顔に、心底苛つきながら酷く素っ気無くそういい捨てた。

 そんな瀬人の態度にも城之内は僅かにもダメージを受けた気配もなく。気の抜けた声で「はぁい」と小さく返事をすると、漸くのろのろとした動作だったが瀬人の後ろから離れ、テーブルの向かい側へと座り、自分の鞄を探って問題の『課題』を取り出し始める。

 わざとやっているのかと思うほど、その動作は本当に緩やかで、更に苛立ちを募らせた瀬人だったが、それ以上口を開くとどんな暴言が飛び出すか分からないので、沸々と湧き上がる怒りを必死な思いで抑え込んで、本来の目的である『勉強』の開始を待っていた。その時だった。

 最後のノートを取り出しながら、城之内が実に軽い口調でこんな台詞を口にしてしまったのだ。

「ちなみに、オレは彼女にするなら、やっぱ美人でスレンダーで、でも胸がデッカイ女がいいな。そういう女、どっかにいねぇかなー」
「………………」

 瞬間、瀬人の中で何かが静かに切れる音がしたが、やはりこの場では何も言う事は出来なかった。今のこの男に何を言っても無駄だ。何かを期待することも無駄だ。そう必死に己に言い聞かせながら、瀬人は手の中のシャープペンを強く握り締める。
 

「な、お前は?彼女にするんだったら、どんな女がいい?」
 

 そんな瀬人の内心などつゆ知らず、城之内は続けざまにそんな質問を口にする。それが今の瀬人に取ってどれだけ酷な質問か、無邪気な笑顔を見せてこちらを見る彼には当然知る由もなく、急激に変わっていく顔色にのみ視線がいく。それと比例してみるみる強張っていく瀬人のその顔を眺めながらも、城之内は質問の言葉を緩めなかった。

 残念ながら元来城之内という男は場の空気を読むのが絶望的に下手だった。下手故に瀬人を盛大に怒らせているのだが、こんな時にもその普段の様子は如何なく発揮されて、瀬人の機嫌は急落していくばかりだ。

 妙な沈黙が、二人の間に落ちてくる。

 瀬人は、眼前に並ぶ筆記用具を初めとする様々な道具を目にしながら、それらに手を伸ばさないよう我慢するのに必死だった。手を伸ばしてしまえばそれらは全て城之内の顔面にぶち当たる事は目に見えているからだ。

 落ち着けと必死に自分に言い聞かせても、城之内の所為で次から次へと降ってくる怒りの要素に瀬人はそろそろ我慢の限界だった。けれど、ここで盛大にキレる訳にもやっぱりいかず……。

 瀬人は大きな深呼吸を一つして、緩やかに目を閉じると、一拍置いた後再び目を開けて城之内を見た。そして今までの彼の発言を全てなかった事にして、徐にこう口にした。
 

「……それで?問題の課題とやらはどこなのだ」
 

 そんな彼の態度に、城之内が大いに不満を示したのは言うまでもない。
 

 
 

 それから1時間程、二人は瀬人の強引な進め方によって、大人しく勉強に集中していた。考えてみればこんな風に真面目に『勉強だけ』をしている事も初めてで、瀬人は相変わらず飲みこみの遅い頭にイライラしながら、それでも余り文句を言わずひたすらペンを走らせているその手元を眺めつつ、知らず小さな溜息を吐いた。

 その際ちらりとみた柱時計の時刻は午後7時。いい加減会社へと戻り遅らせれば遅らせるほど大量に溜まっていく仕事を思い、神経質にシャープペンの先をテーブルに叩き始めたその時だった。漸く最後の設問に答えを記入した城之内がかなり大きな欠伸をして、手にしていたペンを放り投げた。

 カツンと音を立てて転がったそれを気にする風でもなく、そのまま思い切り伸びをすると城之内はずっと向かいにいた瀬人へと視線を上げてにこりと笑った。

「よしっ、これで終了〜!助かったぜー!」
「ならばオレは帰らせて貰う。もう用はないだろう」

 城之内のその声と共に瀬人は取り出した筆記用具を速やかに撤収し、さっさとその場から立ち上がり玄関へと行こうとする。目の前でくるりと踵を返された城之内は、その様子に慌てて去り行くその腕を捕まえた。咄嗟の事で存外強い力が掛かってしまったのか、一瞬瀬人の顔が歪む。

「っ!痛いぞ貴様!力任せに掴むな!」
「あ、悪ぃ。だって……つかお前もう帰るのかよ?!」
「『もう』とはなんだ!十分付き合ったではないか。オレは忙しいと言ってるだろう!」
「そっかー、なんだかんだで7時だもんなぁ。メシ食ってけとは言えないし、しょうがないかぁ。明日は学校に来る?」
「そんな暇は無い。今日一日のお陰で大分仕事が滞ってしまったからな」
「えー来ないのかよ!つまんねぇ。学校来いよ!」
「…オレなど来なくても貴様にはお友達が腐るほどいるだろうが!」
「そういう問題じゃねぇよ」
「何でもいいがオレは帰るぞ。手を離せ!というかどうして意味も無く引き止める!」
「……そう言われてみればそうだよなー。ごめんごめん。じゃあ、オレ、明日バイトなかったらモクバの所に遊びに行くから」
「何故?!」
「や、なんとなく。じゃ、気を付けて帰れよ。あ、さっきの本貸す?そーいやモクバに本貸したままなんだよな。返せって言っておいて」
「そんないかがわしい本などいらんわッ!というかモクバに貸した本とは何の本だ!」
「まーいいじゃん。バイバイ」

 その言葉と共に至極あっけなく離された指先に、勢い良く振りほどこうとした瀬人の手は思い切り空を切り、城之内の前髪を掠めて留まる。それに別段驚きもせずに笑顔のまま、城之内は胡坐をかいたその姿勢でひらひらと手を振った。

 常ならば、瀬人が顔を寄せるまで決して離してなどくれないその手が、今は再びこちらに延ばす気配すらない。

 そんな光景も、初めてみるものだった。

 ただそれだけの事なのに何故か少しだけ寂しいと思う自分を、瀬人は内心酷く嘲った。
「兄サマお帰りなさい!……あれ、まだ制服?会社は?」
「今日は行く暇がなかった。あの馬鹿がしつこくてな」
「え?馬鹿って、城之内?」
「……ああ」
「こんな時間まで城之内と一緒にいたんだ?」
「まあ、成り行きでな」

 結局そのまま社に寄る気力もなく自宅へと直帰した瀬人は、自然に零れ落ちる溜息を隠しもせずに、何時の間にか窮屈に感じ始めた首元のホックを外し鞄をソファーへと放り投げようとして、先に部屋でテレビを見ていたモクバの体当たりに思わず留まった。

 容赦なく正面から抱きついて来た小さな彼を身長の関係で腰元あたりで感じると、瀬人は条件反射でその身体を抱き締めてしまう。その際モクバはふと気付いたらしい何かを確認するようにじっとその周辺を眺めていた。正確に言えば瀬人の学ランの裾周辺を。

「ふーん。……って、あれ、兄サマちょっとここ汚れてる。今日何かした?」
「今日か?……あぁ、教室の掃除はしたな」
「え?!教室の掃除?!兄サマが?!」
「そ、それも成り行きだ!仕方が無いだろうッ!そう言えばその掃除の時に凡骨の馬鹿が……」

 モクバの視線を集めてしまった、多分埃汚れだろうそれを何気なく片手で払いながら、瀬人はなんとなく感じてしまった気恥ずかしさを紛らわせる為に近間のソファーに二人で座す形になり、常よりも少々早口でモクバに今日文字通り『体験』した事を語って聞かせた。その内容はモクバからしたらどうとでもない日常生活の一部だったのだが、普段が普段の瀬人にとってはそれこそ未知の経験だっただろう。

 まさか彼がモップや雑巾を持って清掃活動をする等とは誰が想像出来ただろうか。モクバさえもその様を一生懸命脳内で再生しようとするのだが、それはなかなか上手く行かなかった。しかし。

(学校に最後までなんて居た事がない兄サマを放課後まで引っ張り回すとか。『あの』城之内、凄いぜぃ)

 未だ続いている瀬人の話を聞きながら、モクバはふとそんな事を思う。それはきっとあの城之内だからこそ出来た芸当なのだろう。昨夜からの様子を見るに彼は瀬人に関する大半の記憶を忘れてはいるものの、既に身体に染みついてしまっている行動や、記憶の片鱗は少し残っているようなのだ。

 それにプラスして『全く知らない他人』という要素が加わった所為で、彼の元からある博愛精神というか、平等主義というか、そういうものが発揮されて、今までにはありえなかった言動が次々と飛び出すに至ったのだろう。

 見知ってる人間の見慣れない行動に、未だ対処が出来ない瀬人がそれに振り回される形になってしまったのはある意味当たり前なのかもしれない。ああ見えて瀬人は順応するまでに時間が掛かる人間なのだ。きっと今でも心の底では動揺して不安を感じているに違いない。まあそれも、この状態が長く続くのであれば否応無しに慣れて貰わなければならないのだが。

 モクバは不意に視線を逸らす為に微妙に顔をずらしている瀬人の方へ身を乗り出して顔を寄せると、その声を遮るように今一番気になった一言を口にした。

「ねぇ、兄サマ。『あの』城之内と上手くやっていけそう?」
「え?」
「だから、今まで通りアイツと仲良くやっていけそうなの?って」
「………………」

 モクバのその声に、瀬人は一瞬言葉ごと息を飲み込んで押し黙った。途端に変化した表情にモクバは瀬人と城之内の間に今の話には出てこなかった「何か」があった事をおぼろげに知る。こんな時間まで社に行く事も無く外に居たという事は、学校を出てから共に何処かに居たはずで。それが大人数でなのか二人きりでなのかは定かではなかったが、しかし確実に瀬人がこんなにも動揺する出来事があった筈なのだ。

 まさかもう前と同じ様に告白されたとか、そんな急展開にはならないだろうが、『あの』城之内の事である。何をするかなど想像がつかないのだ。既に十分ダメージを受けている瀬人にこれ以上追い討ちをかける真似はしないで欲しい。そう心の中で密かに願ったモクバだったが、多分、それを願うには遅すぎたのだ。

 何故なら、難しい顔をして黙り込んだ瀬人がその表情のまま動かなくなったからだ。瀬人がこんな態度を示す時は大抵かなりの問題があった時で、今の会話の流れから見るにそれは間違いなく今のモクバの台詞に掛かっているのだ。

 消し忘れていた賑やかなテレビの音だけが、部屋に小さく響いている。急に訪れてしまった沈黙にモクバが余計な事を言わなければ良かったと少し後悔し始めたその時だった。漸く少しだけ顔を上げた瀬人が、無意識だろう溜息と共に言葉を紡ぐ。
 

「お前の言う『仲良く』がどの意味なのかは分からないが……多分、今まで通りというのは無理だろうな」
「えっ、なんで?」
「なんでって……奴は基本的に……」
「そんな事ないって!そりゃ、確かに城之内は金髪美女が大好きだけどっ!それと兄サマを一緒に考えたりしないって!」
「きっ、金髪って……何故お前がそんな事を言う?」
「えっ?!あ、そ、そんな事はどーでもいいじゃん。とにかくっ!そんな事に今更拘ってちゃ駄目だよ兄サマ!相手はあの城之内なんだよ?もし忘れたまんまでも絶対兄サマの事好きになるって!」
 

 何時の間にか膝の上に陣取りそう力説するモクバの顔を眺めながら、瀬人は再び顔を伏せる。……そんな事を言ったって、奴ははっきりと瀬人に言ったのだ。瀬人の事はあくまで『友達』で、『彼女にするなら、やっぱ美人でスレンダーで、でも胸がデッカイ女がいい』と。

 以前の城之内がどうであれ、今の城之内がそうなのだ。それを無理矢理、女ですらない自分に意識を向けろと言われてもそれは無理な相談だろう。自分とて同じ立場になったとしたら再び男を好きになる自信など勿論ない。生まれつきのスキモノならばいざ知らず、特にその気も無いのに何のきっかけも無しに男同士恋に落ちるなんて事は有り得ないのだ。

 それを考えると、なんて奇妙な事だろうと思ってしまう。今まで当たり前だと感じていたものが、全て当たり前ではなかったという事実。城之内と付き合った当初は多少なりとも残っていたそれはいつしか薄れ、城之内のお陰で最早当然の事のように錯覚していた。否、確かに二人の間では問題など何もなかったのだ。それなのに今こんな形で眼前に事実を突きつけられる事になろうとは。

 そして、失ってみて始めてその事の大事さに気づく。
 気付いた所で、もう……どうしようもないのだけれど。

「兄サマ。……そんな先の事まで考えなくても大丈夫だよ。城之内はすぐに思い出すって!だって昨日だって色んな事、覚えてたじゃん。……ね?だから、元気出して」

 再び黙り込んでしまった瀬人の姿に、モクバはきゅっと眉を寄せ、心配そうにその顔を覗きこむ。そして慰めるように努めて明るくそう言うと、にこりと笑って眼前の身体を抱き締めた。

 小さく柔らかなその掌の感触を確かに首筋に感じながら、瀬人は何故か同じ場所に無遠慮に回されたあの硬い腕を思い出していた。
 

『友達』としてのスキンシップであるそれを、酷く切なく感じながら。